ネクストレベルへ


一年ぶり(秦くん公演以来だわー)に北の丸のお堀を渡った、先週の金曜日。



NICO Touches the Walls日本武道館
  TOUR2009〜2010「& Auroras」追加公演  「Walls Is Auroras」



ここ1〜2年、若手のバンドがこぞって武道館公演を乱発していることが
身の丈に合わせた、またはチャレンジングというよりも
単なるハク付けにしか感じられなくて、少し食傷気味だったから
NICOの武道館公演に関しても手離しで喜べない自分がいるのは以前記したけど
昨年末の「& Auroras」本公演@Zepp Tokyoのアクトを観たら
結成から追加公演までの間に彼らが様々なことを経験し、
考え、努力したことが血肉となっているのであろう、その時点でのバンドの姿を一つの完成形とすると
武道館公演は次の高みへ行くためのいい機会になるのかも知れないと思った。
もちろん、それは武道館公演を終えた時点を水準としたところから始まる新たな形成のために。


そしてこの日、半分は彼らのこれまでの集大成を観に、
残りの半分はお祭りとお祝いをしに、という名目を勝手に掲げ行って来た。
会場入口付近のお祝いの花の中に、椿屋からの花を見つけて少し複雑な心境になりつつ*1
根底にあるものが似ていると私には感じられるこの二組は繋がっていてほしいと思っていたから
一方で嬉しくもある私なのでした。



舞台後面に掲げられた4つの縦長スクリーンに
まさに今、控えからステージへ向かう、というNICOの4人がモノクロームで映し出され
そのままシモテから登場し、《そのTAXI,160km/h》で幕開けした追加公演。
実質、ツアーファイナル。


年をまたいで行われた、アルバム『オーロラ』中心の「& Auroras」ツアーの大筋はほぼそのままに
自分たちの思い入れのある曲も演奏していきます と
ご無沙汰の曲も入れ、組み替えてのセットリスト。


《April》 《プレイヤ》 《Lonsome Ghost》 と連続して演奏された流れが私にはハイライト。
好きな曲ばかりというのもあるけれど、視覚演出も含めとてもコンセプチュアル。
これまでもそうだけど、NICOワンマンの曲順は数曲を一括りとした短編作群のように思え
熱量や色、心情や風景の違うそれぞれのストーリーが連なって
1曲目から始まり、本編最後を経てオーラスへ集約される一つの物語のように感じる。


今まで行ったことのない土地を廻り、公演ごとに違う新曲を披露していくという次のツアーが発表され
それとともにアンコールで披露された新曲の《速度》(表記不明)。
イントロの時点でニヤッとしてしまった。これ、いい。
NICOの昔と今の要素がうまく混ざっている手触りに、彼らの次なる段階での意識を垣間見たよう。
そして、公演タイトルと表向き絡めたと思われる、このステージの幕引きとなった《壁》が
初心を忘れずにこれからも突き進んでいくことを表明しているようにも感じた。


アグレッシヴでオープンなステージを観ていたら
2006年に初めて彼らのライブにいったワンマン@渋谷 Club Quattroから
昨年末のZepp Tokyoまでの私が行ったライブで印象に残っている場面が思い出された。
表現が平たくて語彙の貧しさが恥ずかしいが率直に、あぁ 思いっきり成長したんだなぁ と。
その過程を見てくることができてよかったと改めて思う。
この日のステージで出来たこと、嬉しかったこと、
やり残したこと、悔いが残ることなどあるかとは思うけれど
それをこれからの活動の糧や目標にして、次なる域の姿を見せてくれると
今までの伸び方に照らして期待してしまいます。

*1:椿屋ファンの方には「武道館」というキーワードでこの心境になるのはご理解いただけるかと思います