音の展覧会

一青 窈 東京厚生年金会館
 premium acoustic tour'09
    produced & performed by 武部聡志 × 小林武史



あっちこっちと忙しく、スケジュールを合わせるのが大変であろうこの三人が揃うステージは
滅多に体感できることがないでしょうね。
因みに、武部さんは現在行われているユーミンツアーの合間を縫っての参加だったそうで。
そんなツアーの最終日。



床、正面奥(バック)、右、左、とアンティーク調の大きな額縁4面で飾られた舞台上。
しかもそれぞれ奥行きが出るような台形になっていて、それだけでも動きがある。
三人が立つステージ自体がキャンバス。時々、額縁をまたいだり、縁に立ったり。
Bunkamuraでちょうど展示中の『奇想の王国 だまし絵展』の実写版みたいな感じにも思えたり。
左右、バックにある額に縁取られたキャンバスには、曲ごとに三面とも違う映像が映し出され
ステージを合わせると、「曲数×4」枚の額装された絵が架けられた展覧会を観るような趣。


翡翠》から始まったステージ。
蛍光色寄りのイエロー・ピンク・オレンジで少し差し色を加えた
チャイニーズブルーのプリーツ生地ワンショルダーワンピースに
ピンクのプラットフォームサンダルを履いた窈ちゃんを挟むように
シモテに武部さん(Pf,オルガン(?))、カミテに小林さん(キーボード,ハモンド)。


なぜか聴くたびに涙がでてしまいます、《つないで手》
久しぶりに聴いた《あこるでぃおん》・・・
1/3が終わったところで、プロデューサーそれぞれと窈ちゃんとの二人ずつのコーナーへ。
まずは小林さんと。
小林さんがプロデュースしているsalyuへ窈ちゃんが歌詞を提供した《Name》と《Tower》をカバー。
そして、お互いへエールと称して、武部さん作曲の《さよならありがと》を。
武部さん登場し、小林さんと二人だけのトーク*1の間、姫はお色直しへ。
肩口ミニフリル袖なし黒トップスに、黒サテンのティアード膝丈スカート、ウエストには紫のサッシュ、
スパンコール散りばめたようなキラキラフラット靴で再び姫登場。
次は武部さんと。
窈ちゃんが主演し、音楽を小林さんが担当した昨年の舞台『箱の中の女』から《どっちつかず》を。
そして、自分で作っておいて何だけど好きなんだよな、と武部さんが仰っていた《かざぐるま》
デビュー前から育ててくれている武部さんが窈ちゃんへ作った最初の曲、《月天心
あぁ。この曲大好き。音源でも、ライブでも、何回聴いても心が揺さぶられる。
空気の澄んだ夜闇にさす月明かりのようなライティングも効いていて素敵。


後半戦は《指切り》、このツアーで初公開の新曲《ウラ・ハラ》など打ち込みも使いアップな曲を。
《指切り》の時の映像が少し退廃的で艶っぽく、曲を視覚的にも盛り上げていてよかったな。


アンコールでは、ふたたび『箱の中の女』の劇中歌《確信犯》を。
この日は『箱の〜』のキャストかスタッフも客席にいらしたようで。どなたが来ていたんだろう?
聴きながら、傾斜を利用した男性キャストたちのあのダンスが頭に浮かびましたよ。
そして最後は、折角この三人が集まったのだからと、
武部さんと小林さんの共作曲に窈ちゃんが詞をつけた新曲《うんとしあわせ》(表記不明)
この詞を書くにあたり、ちょうどその時自分自身ウツ気味だったこと、
また、友人がウツ状態だったときに気づいてあげられなかったことから
自分の周りにある幸せが見えなってしまうこともあるけど
日常の中にあるささやかなことが、実はうんと幸せなことだというようなことを話してくれた。
どんな風景でも、好きな人とならば素敵に見えるのも幸せ・・・というような詞だったな。



全体通して何回かピッチが甘いところがあったけど、
この日の模様が8月上旬にNHK-BSで放送されるそうで
そのためカメラが入っていて緊張していたせいなのでしょう。
打込みを少し使いつつも、ほぼ、お二方の鍵盤と歌だけという構成だったから、
歌詞がいつもよりももっと鮮明に届いた。
だからといって、音も薄くなく、バンドで演奏しているのと変わらないぐらい厚みがある。
時々、鍵盤を弾く手元が映し出されていたのもいい。やっぱり、手元も見たいもの。
歌の隙間に差し込まれる様々な旋律に、それぞれの個性が出ていて聴いていてワクワクしました。



決めたコンセプトを総合的に表現するため、
舞台装飾やライティング、衣装など 音以外でも楽しみところがいっぱいある彼女のコンサート。
次はどんな画を見せてくれるのか楽しみ。


そういえば、先月行ったゴスペラーズのときもあったけど
収録CDの情報と共にこの日のセットリストをロビーに貼り出すのって今の主流なのでしょうか。
CDの販売促進とファン心理の両方を満たすいい方法だと思う。
ただ、ライブハウスものに行くほうが多いからか、馴染みがなくて少し驚きましたけどね。

*1:ご本人達も仰ってたけど、次第にかみ合わなくなってた(笑)