アジアvsハリウッド

香港映画「インファナル・アフェア」をマーティン・スコセッシ監督がハリウッドリメイク。


ディパーテッド



「インファナル〜」は?〜?まであり、この3本を3回映画館で観たにも関わらず
DVD(しかもデラックス版(^^ゞ)まで購入しリピートしている私。
やっぱり、ハリウッド版も観とかなきゃね。


本家を観ないでこっちのリメイクを先に観ちゃった人は物語についていけたのかな?
と疑問が残るほど、本家のオイシイところを寄せ集めてるから話の飛び方が早すぎ。
マフィアへ潜入した捜査官が警察のボスへリアルタイムで状況伝達するとき本家はモールス信号、
今作は携帯メール。物語を早く進める為か、バレやすい方で設定してる感じ。
ところどころアメリカらしい場面設定になっていて、それはそれでOKなんだけど…
カラッとしすぎてちょっとねぇ。もう少し、「湿度と影」がほしかったかな。
しかも、終わり方は本家と全くちがう。
というか、DVDに特別納められている別バージョンエンディングに近いほうをとってるし。
その終わり方では本家が云いたかったテーマが全くなくなってしまうんだよ…。
スコセッシ監督が何を軸に表現したいのか私には感じ取れなかった。

ちなみに、本家には「無間」という言葉が入った副題がそれぞれついている。

【本家HPより引用】
『「無間」という二文字は「法華経」、「倶舎論」および「玄應音義」などの中国仏教経典に由来しており、意味はまさに本作品がテーマとしている“地獄”だ。
二人の主人公はそれぞれ警察に浸透したマフィアとマフィアに浸透した警察のスパイであり、本当の自分とは正反対の身分を手に入れることになる。このことにより、彼らは生きながらにしてこの上ない苦しみを味わう、“無間地獄”にいるかのような人生を歩むことになるのだ。
ストーリーは冒頭からすでに「無間」の本当の意味を伝えている。つまり、冒頭の「阿者言無,鼻者名間,為無時間,為無空間,為無量受業報之界。(字幕訳:“阿鼻”とは、時間、空間、量の際限も無く、苦しみを受け続ける地獄である)」という言葉の頭2句は「涅槃経第十九」からの引用、後ろの3句は脚本家が付け加えた解説だ。そこにある「阿」と「鼻」はそれぞれ「無」と「間」に対応しており、八大地獄の中でも最下層にあり、最も苦しいと言われる「阿鼻地獄」、別名「無間地獄」のことを指している。「阿鼻」とは原語を漢訳したもので、「永遠に助からない」という意味。つまり、一旦この地獄に入れば助かることはなく、永遠に終わりのない厳しい苦難を受け続けることになるのだ。前述の“業”とは、人間一人一人が行う全ての事であり、それが正しくとも、また間違っていようとも、必ず“報い”が返ってくるという意味だ。』


この「無間」を背負う二人の苦悩や悲哀、
その合間に出会う愛に対する喜びや二人に関わる人々の深いところの人間味なども
ひっくるめたことが物語の中に表しきれてないんだよなぁ。
それに本家では、マフィアに潜入したほうの人生が実は“(本人が感知しないところで)救われていた”と
観客だけにわかるエピソードが入っている点もよかったのに、今作では含まれていないから、観ているこっちも救われない。
やはり、軽く6時間はあるストーリーを2時間半にまとめちゃったのはキツかったかな。
もっと丁寧に描かなければならない部分が沢山あったはず。
ハリウッド映画にありがちな「大味」になってしまっていて残念。
正直、期待していたので・・・。


おっと。思い入れのある映画ゆえ、長文になってしまった。