青さ、はスイカの匂いとともに

私の情報源であるラジオで先週たまたまゴジゲンの存在を知り
ちょうど公演期間中だったので思い立って観に行ってみた。
ちなみに、私が観た回は座席の間の階段に座っても間に合わないほどの超満員でしたよ。



ゴジゲン第7回公演 『ハッピーエンドクラッシャー』 @新宿 THEATER BRATS
  〔作・演出〕松居大悟
  〔出演〕東迎昴史郎/大村 学/加賀田浩二/貫井りらん/奥村徹也/
       西岡知美/目次立樹/田中美希恵/平岩久資/松居大悟(写真出演)
       ※パンフレット掲載順



半年振りに故郷で集まった高校時代の仲間たち。
空回りしているギクシャクとした空気が皆の間に流れているのは
卒業間近に起こった出来事を境に現れたわだかまりを、それぞれが胸のうちに隠して
何事も順調な生活を送っているフリをしているからなのだが…



赦してほしい者と、赦しきれない者。
事件の前と変わらぬフリをしようとお互い本音を云えず、感情をぶつけず、事を荒立てず…
優しさと云う名の逃避。人間の弱さ。
でも、それは愛おしさも覚える情けなさ。


本当は本心をさらけ出したいという思いのあるそれぞれが突破口を求めて足掻き
その端っこを掴んでからラストへ向けて膨らむ感情の熱はやがて弾け
幸せなフリをしていたことをブチ壊す。
ハッピーエンドをクラッシュしても、このカタルシスの先にはハッピーエンドに似たものがあるように思えた。



わざとハイテンションにしたり、怒ったりするシーンで大声になったときに
スピードが出るせいもあってか、セリフの明瞭さが落ちていたから解りづらい部分があったな。
あと、物語にもうひと捻りがあるといいかなぁ。
でもね、互いに抑えていた思いがぶつかっていった終盤には涙が滲んだ。
ラストシーンで割れたスイカの匂いが
19歳という、とても中途半端な年齢が持つ混沌とした情に漂う青さを表しているみたいだった。


キャラクターがハッキリと演じられていて、それぞれの役の性格も分かり易くよかった。
その中でも田中さんが強烈。
田中さん以外の人が同じ役を演じても、こんなにスパイス的な役割は果たせなかったと思う。
あと、役柄のせいなのか、ご本人の力量なのか判断しかねたけれど、西岡さんも印象的だったな。



相変わらずテレビないから知らなかったのだけど
ゴジゲン主宰の松居さんは今夏放送したNHKのドラマでも脚本を書かれたそうですよ。
そのドラマ見てみたかったぁ。
若い方だけど、私の年代でも通じるネタもあって置き去りにされる事もなく
笑いのセンスも好みなので、来年4月にある次回公演も観にいってみようかな。