映画@8月

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

監督・脚本:吉田大八


監督のデビュー作だそう。
画や手法が中島哲也監督の『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』に似ているな・・・って思って調べたら、上記2作を撮った阿藤正一さんの撮影でした。 どおりで・・・。
吉田監督自身も中島監督を意識しているようにも感じる。


原作はベストセラーらしい。知らなかったです。
タイトルだけでかなりのインパクト!。
それに加えて、サトエリが主演ということで観にいった。


できることならこの人の体型になりたいっ!!と思うのがディータ・ヴォン・ティースと佐藤江梨子さん。ディータだったら顔も希望。
6月ぐらいに、新宿のハンズで買い物中のディータに遭遇し、一点の曇りもない陶器のような白い肌に釘付け。
クラシカルなアイラインに深紅の口紅、泣きボクロ。
写真でみるまんまのキレイさにため息。
ワンピースを着ていたけれど、均整のとれたラインで素敵でした。
10代後半ぐらいからコルセット着用していたというウエストはやっぱり細かった。またもやため息。
サトエリは人間離れしたバービー人形体型が圧巻。ちょっと細いけど。


演技以前のレベルなのに女優を目指す姉・澄枷。
悲惨な状況を漫画にしてしまう妹・清深。しかもプロ並み。
後妻の連れ子で腹違いの兄・宍道
宍道の新妻・待子。


傲慢な澄枷にやたらと気を使う宍道と清深。
それを疑問に思いながらも宍道を慕う待子。
ハレモノに触るような澄枷への態度は4年前のある出来事がきっかけ。
清深の中学生とは思えない漫画の才能が事件を引き起こし、
物語を結末へと導く。


お互いが反発しあってるかのように見えて、実は依存しあっている。
結局は、血の繋がった者同士だからこその自覚のない依存。
彼女たちの悲しみの愛に、最後はなんだか人間らしくて可愛い姉妹に思えてくる。


下妻物語』や『嫌われ松子〜』を面白い!と感じた人は好きかも。


◆バベル

監督・製作・原案::アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ


『21グラム』のアレハンドロ監督。
監督の長編デビュー作『アモーレス・ペロス』は、気づいたら終わっていて見逃しているので、どこかのスクリーンで掛からないかなぁ〜と思いながら早7年・・・。諦めてDVD鑑賞にしようかな。


“コミュニケーション”が核のこの作品。
言語の壁だけにとどまらず、
夫婦間、親子間、兄弟間でもコミュニケーションがうまく取れず
心の奥底に叫びだけを蓄積させていた人々。


ロッコアメリカ(メキシコ)、東京 と、何の接点もない3家族が
一つの事件によって繋がっていき、身近な人とでさえチグハグだった関係を均していく。


言語が違うから、肌の色が違うから、宗教が違うから・・・という前に
同じ人間どうしなのに戦争が止まない。
民族や国同士の戦争までいかなくても、家族や友人、会社、共通の事で集まっている団体などでも大なり小なり争いは起きる。


“相手を理解しよう”
“相手の心を気遣おう” 
などの、気持ち(努力)があれば、自分本位な考えや言動は抑えられるはず。
もちろん、相手が道徳の範囲内の人ならば。
さまざまな感情や思惑が内側で渦巻いているのが人間。
聖人君子然としている人などいるのかな?
いるのかもしれないけれど、圧倒的に人数は少ないだろうから
“思いやる”気持ちの割合を多くすることが第一歩のような気がする。


そんな私もコミュニケーション下手だから、死ぬまで課題だな。


役所広司さんとケイト・ブランシェットの二人は、少ない台詞と短い登場時間の間でも確実に印象づける存在感がある。さすが。
他の多くの作品とは異なり、非常に人間らしい設定のブラット・ピット。
コミュニケーションの壁を表す上で判りやすい例えとして“聾唖”という設定がされ、その役を努力のすえ手に入れ、こなした菊池凛子さん。
珍しくダメダメな奴を演じたガエル・ガルシア・ベルナル
なんとなくダコタ・ファニングに似ているな〜と思ったカワイイ子役は、なんと、ダコタ・ファニング実妹だったのね・・・エル・ファニング。似ているわけだ。


アレハンドロ監督らしい、重たいテーマ。
鑑賞後すぐは明確ではない監督の描きたいことが、あとあと思い返すとじんわり判ってくるのは、この監督の作風なのだろうと個人的に解釈。


恋愛睡眠のすすめ

監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー


今月は鑑賞数が少ないのになぜか「バベル」に続き
ガエル・ガルシア・ベルナル出演作品二本目。


ゴンドリー監督は「エターナル・シャンシャイン」や「ブロックパーティ」の監督なんですね。両方とも未見ですわ。ミュージックビデオのほうの作品が多いのが頷けるぐらいポップな画面。


仕事も恋も上手くいかないシャイな青年が、せめて夢の中だけでも恋するあの人に会って思い通りの恋愛をしたいと夢を見るうちに現との境がなくなってしまうファンタジー
ガエルの可愛さとシャルロット・ゲンスブールの自然体が好印象。


はっきり云って、夢と現の境がなくなってしまうのは危ないです(笑)
一般的な社会生活ができなものね。
意外と多い「妄想族」な方々だったら理解できるかも。(はーい♪)
だいたいの妄想族は現実との境をキッチリわけて、モラルもわきまえて・・・となっているからいいけれど
この映画の主人公、ステファン(ガエル)は夢に逃げてしまうのよね。
どんどん、夢に頼る割合が大きくなってしまうし、
観ているこっちも夢と現の境がわからなくなって・・・
でも、なんだかハッピーエンド。


粘度細工アニメ(ピングーみたいなやつ)のようなコマ撮りや
ブルーバックに絵を重ねた画面を出してみたりと、非現実が満載。



私はよく、「音」たちへ現実逃避してしまうからステファンと変わりない気がしてきた。
要するに、子供なんですな。 
三十路超えてますが何か?ヤバイですね。はい。