コンカツ指南?

GWを挟んだから、記すのがずいぶんと遅くなってしまった…



4月も終わり間近、月がさそり座で満ちた夜。
(厳密には、満ちるとほぼ同時に終演だったけど)



シス・カンパニー公演
2人の夫とわたしの事情 』 @Bunkamura シアターコクーン
    〔作〕 W.サマセット.モーム
    〔演出・上演台本〕 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
    〔翻訳〕 徐 賀世子
    〔出演〕 松たか子段田安則、渡辺 徹、猪岐英人、新橋耐子、
         皆川猿時、水野あや、池谷のぶえ西尾まり、皆戸麻衣



戦死した夫・ビルの親友・フレディからの求婚を受け入れたヴィクトリア。
ところがある日、ひょっこりとビルが帰ってきたから、さぁ大変!
2人の夫を同じぐらい愛しているという妻と、お互いが身を退きあう2人の夫。
しかし、3人の思惑の本当の姿は…


◆◇◆


以前、ちらっと(‘09/1/6記)記したときに松さんの演技能力の高さを再認識してから
今度は生で芝居を観てみたいと思っていて、ようやく彼女の演技を体感できた。
松さんだけでなく、出演者全員のレベルが高いから
「○○さんが演じている」という感覚をこちら側に与えずに、役を生かしていて
すんなりと物語が入ってくる。


テンポのあるセリフは噛みそうなほどのものもあるのに、躓くことなく繰り出され
それと合わせての多様な動作は個々に展開されるので目が離せず
織り込まれている“笑い”は、流れをとめることなく自然に顔を出してくるから
こちらも考えることなく笑える。
人を笑わすって、泣かせるより難しいと思う。
ピタッと嵌らなければ、笑いだけが別物になって浮き上がってしまうし、狙った感も与えてしまう。
かといって、自然さを重視すると瞬発力が出ず、折角の笑いが流れに埋もれてしまって
こちら側は「あれ?今のはもしかして」と一瞬考え、反応が遅くなり、引っ込めてしまうから
結果的に反応がなかったようになるということにもなり得るし。


コメディだけど、シリアスもあり。
終盤近く、舞台上が真空になったように感じた気迫あるシーンに
こちら側も息をつめてしまいそうになるぐらいだった。
演者の気迫を増幅させるようなライティングも効いていたし。
だから、限界まで膨らました風船がパンッと割れたかのように一瞬で空気が戻ったときは
ビクッとしてしまった。


自分は自ら国に奉仕をし、皆を気遣い、愛されているから、望みは全て通る(通す)のは当然! と
疑いもなく思えるヴィクトリアはそれだけだと高慢、且つ利己的で嫌な女だけど
この舞台上のヴィクトリアはキュート。
松さんの演技とケラさん演出の成せるところなのかな。
そのキュートさにつれられて視点を変えてみると
ヴィクトリアはピンチとチャンスに対する嗅覚が鋭く、器量のよさを自認していて
どう動けばターゲット(人でも欲望でも)を手中にすることができるかわかっているうえに
自分の心に忠実で、望みが明確だから迷いがなく
それに向かって波乗りみたいにどんどん渡っていけるんだな ということが見えてきた。
全部見習ったらイタイ女になっちゃうけど、少し取り入れたほうがいいかも?という部分はあるなー


もう一回観にいく予定なので、使えそうな部分を再チェックしてきます(笑)